「お屠蘇」という字、読めますか?「お・と・そ」ですね。
聞いたことや、実際お正月にいただいたことがあるかと思います。
とりあえず、もらえるものはもらうけど、お屠蘇ってどういう意味?
正しい作法はあるの?と思っている、好奇心の強いあなた。
お屠蘇の由来から、正しい礼儀作法まで、バッチリ知って、新しい年の運気をあげちゃいましょう!
意外と知らないお屠蘇の意味と由来
元旦にいただくお屠蘇ですが、一体どんな意味があるのでしょうか。
その由来には、微妙に違う解釈の諸説があります。
- 「蘇」という悪鬼を「屠(ほふ)る」(打ち負かす)という説
- 邪気を「屠り」、魂を「蘇生」させるという説
いずれにしても、漢字にその意味が込められていますね。
一年の始まりに、無病や長寿を祈願するお屠蘇は、平安時代に中国から伝わったとされており、元々は、「屠蘇散(とそさん)」という数種類の薬草を日本酒やみりんに漬け込んだもので、当時は宮中行事としてお正月に使用されていました。
のちに、庶民にも広がったのは江戸時代とされています。
屠蘇散の中身は、薬として使われていた元来のものから変わってきており、漢方薬と同じく、飲む人の体質や症状で効果がなかったり、より悪影響を及ぼしたりする場合もあるので、現代では、医療効果のない食用範囲で処方されています。
これで恥をかかない!お屠蘇の正しい礼儀作法
まずお屠蘇は、正式には「屠蘇器(とそき)」でいただきます。
こちらは朱塗りのものが一般的で、お銚子と盃(三段重ね)、盃台、お盆といった酒器のセットです。
そして、お屠蘇をいただく作法は、飲む前から始まっています。
元旦の最初に汲んだ水(若水)で身(手)を清め、神棚や仏壇などを拝み、家族全員で新年の挨拶をしましょう。もしお腹がすいていても、おせちの前にお屠蘇です!
いただくときは、家族全員で東の方向を向きましょう。注ぐ順番や、小・中・大の三つの盃の使い方など、地域によって多少の違いはありますが、初めは、年少者からいただきます。
これは、由来である中国の順番、あるいは毒見、という説もありますが、若者のみなぎる生気を年長者におくる、という意味があるんですね。
「一人これを飲めば一家苦しみなく、一家これを飲めば一里病なし」といわれ、この文句を唱えるというパターンもあります。
また、年齢に関係なく、厄年の方は最後におまわりください。厄払いの力もおくってもらいましょう。なお、未成年者の場合は、口をつけて飲むふりだけでも構いませんし、みりんを使ってノンアルコールのお屠蘇を作るのも良いですね。
より運気がアップ!お屠蘇の豆知識
その昔、井戸が主流だった頃は、大晦日の夜に、赤い絹を三角形に縫った袋に屠蘇散を入れ、井戸の内側に吊るしておき、元旦に日本酒やみりんに浸してお屠蘇を作っていました。
抽出には時間がかかるので、早朝の作業だったことでしょう。抽出後の屠蘇散は捨てずにとっておきます。
それから、元旦にいただいておしまい、ではなく、お正月三が日の来訪者にも、お屠蘇をふるまって、新年を祝いましょう。これは、豆知識というよりは礼儀ですね。
そして、松の内(1月1日~1月7日)が過ぎたら、袋の中身を井戸の中に投げ入れます。
屠蘇散の入った水ですからね、この井戸水を飲むと、一代の間は無病でいられるとされました。きっと長寿の効果もあったことでしょう。
ちなみに、現代の屠蘇散の中身は、山椒・桔梗・肉桂(シナモン)・陳皮(みかんの皮)など、漢方薬の生薬として聞いたことがあるものも多いですね。
最後に
現代では、普通のお酒をお屠蘇としていただく場合もありますが、屠蘇散は薬局やスーパーでも気軽に手に入りますし、無料で配布されていることもあります。
また、年末に日本酒やみりんを購入するとついてくることもありますから、お屠蘇作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
スッキリさっぱり飲みたい方は、清酒を使い、甘口が好きという方は、砂糖を足したり、本みりんを使ったりしても…お好みでオリジナルお屠蘇を作ってみてください。
何といっても、縁起物です。元旦にお屠蘇をいただいて、健やかな一年になりますように。